君に届ける最後の手紙
「さて……と、そろそろ行かないと」


「うん……淋しくなったらすぐ電話しなさいよ?」


「分かってる。とりあえず毎晩電話するよ。じゃ、行ってくるね!」


「気を付けるんだよ〜?」


「あいよ〜!」


俺が入学する学校は市外で、電車とバスを乗り継がなきゃいけない。


家からJRまで、歩きだと約20分。そこから電車で15分移動し、さらにバスで20分。


通学だけで大体1時間はかかる。寮にいるうちは週に一回だけで済むが、寮を出たらと思うと……ゾッとする。


さて、ようやくJR駅に着き、電車に乗り込む。


「ん。この電車で間違いないな」


俺はワクワクしていた。風景や情緒を好む俺だ。もちろん、電車からみる景色なんてのも好き。


しかし、珍しく早起きしたせいか、異常な眠気が……。


「発車まで時間あるな……」


俺は少し眠る事にした。


「…………ぐぅ……ぐぅ」


「……ぐがぁ……ぐがぁ……」


「ぐご〜……ぐっ、ん?」


なんか短時間の睡眠にしては、すごくスッキリした様なきがする。


「もう電車動くかな……ん?」


駅の看板には「館腰」と書いてある。


「あ、とっくに動いてたのか……てか館腰ってどこなんだろ…」


看板をよくみると矢印が引っ張ってあり、"前の駅の欄"に目的地が。これは……


「やべ……入学式はやべ〜って!」


俺は急いで電車を降り、逆方向の時刻表を見たが、しばらく電車は来ない。


もちろん、タクシーに乗る金も無く、こんな所からではバスも届かない。


「ダッシュだな……」


俺は意を決して走り出した。


どうなる……俺。


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