君に届ける最後の手紙
俺は恐る恐る体育館の扉に手をかけ、ゆっくりと開いた。


「うわぁ……もう名前呼び始めてるよ……由君どうする?」


「いや、どうするも何も、気付かれない様に入って、馴染むしかないっしょ」


「だね……じゃ、静かに行こう……」


なんて言ってる間に、扉から覗き込む俺達二人は注目の的となっていた。


「あぁあぁ……」


俺の高校生活は、始まりと共に終わった。


「ま、しょうがないね!由君」


だから何なんだこの人は。


「おい何してる。早く入れ」


どうやら俺の担任らしい先生が、無表情かつ感情の込もってない声で俺を呼ぶ。


「うわっ……鉄仮面だ……」


「何か言ったか?」


「いえ、何も。じゃカズシ君、また後で!」


「うん!またね!」


俺達はそこで別れ、お互いの無事を祈った。


< 72 / 233 >

この作品をシェア

pagetop