君に届ける最後の手紙
そして、来て欲しくなかった消灯時間がやって来た。


ブルブル……ブルブル……。


手足が震える。漫画みたいだ。


「タ、タクヤ。マジで出たりしないよな……?」


「いやぁ……出ないだろ?出ないで欲しい。出るかな……」


見事な三段活用だ。自信の無くなる様が手に取る様によく判る。


が……特に変わった事もなく一時間程過ぎると、徐々に恐怖感も解けて行く。


「何だ……何もねーじゃん。……寝よ」


俺は少し安心して、寝に入る事にした。


「……」


「………」


「…………由!!!」


「何だよ……もうちょっとで眠れそうだったのに」


「ひ・か・っ・て・る・のっ!外!!!」


「ウソだろぉ……マジだ!ウワウワウワッ!タクヤダメだ!見るな!俺も見ちゃったけど見ちゃダメだ!」


「由〜……見ちまったよぉ!呪われるよぉ!」


「大丈夫だ!忘れろ!見なかった事にするんだ!ほら、もう光ってない!」


「うわぁぁぁん!エグっ……エグっ……」


俺も恐怖心にかられていたが、タクヤはそれ以上の様だ。まるで赤ちゃんの様に泣いている。


俺達二人はその日結局一睡も出来なかった。


次の日の朝、同じ階の全員が洗面所に集まり歯を磨いていると、昨日の先輩が近付いて来た。


「よぉ、昨日どうだった?」


「先輩……俺達見ちゃったんです。例の光……」


「ハハハッ!あれなぁ、舎監の見回り!懐中電灯だよ!ハハハハハハ!」


「うわぁ……嘘ですかぁ……」


俺達や209の連中は一気に膝から落ちた。


「じゃあ、あそこで死人が出たとか札とかは?」


「あれは本当」


「嘘って言ってぇ!」


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