君に届ける最後の手紙
それから日が経ち、試合の前日。


「よーし、背番号渡ったな?ちゃんとユニフォームに縫い付けて来いよ!」


俺の、背番号は8。センターだ。まぁ足と守備範囲を見ての昇格ってところか。


ゲンキは……


「ほほー、レフトか。お前がお隣りさんなら心配いらないな」


「ま、お前の守備範囲狭めてやるから安心しろよ」


二人共、試合が楽しみでしょうがなかった。


「なぁゲンキ……明日絶対勝とうな!」


「当然!」


明日はいよいよライバル校との試合。俺達はしっかり体を休めるベく、早目に帰宅することにした。


……しかし、いざ家に着いて、着替えと食事を済ませても、俺の気持ちが落ち着かず、身体を休めるどころではなかった。


「ダメだ。身体動かそ……」


俺にとって、とれる行動はたった一つ。バットを持って公園に向かった。


「――出た、野球バカ」


「またかよ」


なぜか公園に来ると、いつもアサミが居る。


「お前、よっぽど暇なのな」


「まぁ……ね」


アサミは軽く夜空を仰いだ。


「何だ。悩み事か?」


「うん。家にね、居場所がないんだ……」


「居場所?」


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