君に届ける最後の手紙
「はぁ〜!疲れたぁ!」


今日は待ちに待った土曜日。俺達一年生にとって初めての帰省日でもある。


不思議なもので、家電も何もない一週間は異常に長く感じられ、"家電が恋しい"とすら思える。


そんな事を考えながらホームで電車を待っていると、見知らぬ女子が俺の方に向かって来た。


「あ、三組の由君だよね?」


「はぁ……そうだけど……何?」


「私のクラスで由君と仲良くなりたいって娘がいるんだけど……その娘、話し掛ける勇気がないらしくて……」


「え?だって仲良くするだけでしょ?勇気とかいらないんじゃ……」


「まぁそんなんだけどさ。どう?仲良くしてくれる?」


話の筋が読めない。


「いや、それはいいけど、誰だかわかんないし……」


「あぁ〜良かったぁ!きっと喜ぶよ!ありがとね!バイバイ!」


「いや、だから……」


なんで俺の周りの女は最後まで話を聞かないんだろう。一体誰なのかも解らないし……とは言え、ちょっと楽しみだな……。


入学早々恋の予感……。


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