君に届ける最後の手紙
「ただいま」


そう言って大荷物を下ろすと、真っ先に駆け寄って来たのは母親ではなかった。


「由ちゃ〜ん!おかえり〜!」


「いや、だからなんでアサミが居るんだよ」


「ふふ〜ん!嬉しいくせに!」


そうでもない。ただ、彼氏でもない俺んちに住み込んでいる事に驚かない俺にビックリだ。


「由!お帰り!さぁさ、早く着替えて!」


「何だよ母さん。どっか行くの?」


「どっか行くの……って、ねぇ?アサミちゃん」


「うん!この季節で、由ちゃんが久し振りに帰って来たとなれば、アレでしょ?」


久し振りって……たったの一週間だけど。


「だからアレってなに?」


「花見だよ花見?由ちゃん鈍いなぁ」


「鈍いって……まだ咲き始めぐらいだろ?」


「そうでもないわよ。昨日仕事帰りに見たら意外と花開いてたみたい」


「へぇ。じゃ場所取りとかしないとマズいんじゃね?」


「由ちゃん……アタシがそんな間抜けだと思った?それは朝6時半からゲンキ君にまかせてあるのよっ!」


何やってんだアイツ……。てか、そんな事やらせるヤツもどうなんだ?


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