君に届ける最後の手紙
「買って来たぞ……ホイ……」


「おぉっ!うまそうっスね!お母さま!」


「ほーんと!おいしそうね〜。じゃ、食べようか!」


「あぁ……」
「はぁい……」


「ん?……ま、いっか。ゲンキお酒〜」


「ヘイヘイ……よっと!アサミ、タコ焼き取って!」


「はいは〜い」


「アサミ、じゃ俺もお好み焼き……」


「自分で取ればっ!」


「……んだよ……」


「ん?んんん?やっぱりアンタら、何かあったねぇ?」


何だこの鋭さ。女の勘と、年の功が相俟ってってところか。って、まずこれで気付かない方がおかしいか……。


「アサミちゃん!緊急ミーティングよ!」


「ほいっ!」


「ひそひそひそひそ……」


「ひそひそひそひそ……」


「由、何かあったのか?」


「しらね。俺悪い事してねーもん」


「ひそひそひそひそ…………ですよねぇ?」


「うん。由!アンタが悪い!」


「あぁっ?!何でよ?!」


「いいの!ね?ゲンキ」


「へい!由が全部悪いっス!」


「なっ!?てめぇ……」


大人の汚い世界を見ました。権力に物を言わせる汚い世界を……。


「謝りなさい!」


「何でだよ!?」


「いいから!後で母さんが教えてやるから!」


「何だよ……ごめん……なさい」


「由ちゃん!声が小さぁい!」


「あぁあぁ!悪かったね!ごめんなさ〜い!」


「よし!特別に許してやろう!はいっタコ焼き!あ〜ん……」


「……調子に乗ンな……モグモグ……」


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