君に届ける最後の手紙
それから更に15分程歩いた頃だろうか。


「結構疲れたね」


彼女の訛り聞きたさに話し掛けてみる。


「そうだねぇ……あとどれくらいかかるかな……」


意外と訛りを気にしているらしい。ちょっと残念。


「後30分くらいじゃないかな」


そんな会話をしていると、俺達二人は出会ってはならない者と遭遇してしまう。


「あ……由君、前から誰か歩いてくるね」


「うん。でも何かあの人……おかしくね?」


真っ暗な農道。服装は、お世辞にも綺麗とは言えない。こんな時間に畑仕事と言う事はないだろう。


右手に何やら持っている。


……鎌……。


間違いない。


「鎌親父……?」


「え?カマ親父?何それ?」


キョトンとする彼女。


「何それ?」と聞かれると詳細を知らない俺は返事に困るが、鎌親父+気を付けろ=襲われる。と頭にインプットされた俺は、彼女に思ったまま説明した。


「え……それはヤバイね……」


キョトンとした彼女の表情が怯えた表情に変わった。


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