キミのいる世界で

 二回目の魔方陣は、最初のものと比べ遥かに大きい。辺りを渦巻く突風もますます力を増し、それは天を翔る竜のようにも見えた。


「こ、れは……どう、だッ――!!」

 力を込めるようにして、途切れ途切れになりながらも聞こえる声はフーリオ・クレイントンのもの。最後の言葉と共に放たれるのは、巨大な光の物体。

 凄まじい速さで移動するソレは、目を開けることも叶わないほどの光を放つ。
 先ほどと同じようにして、障壁に当たった魔法弾。

 消えるとばかり思っていたソレは、その思いとは裏腹に不快な音を立てて、こちらへと跳ね返ってきた。


「……えっ」

 何もするでもなしに、その場で固まっていただけの私は、目を瞑るくらいしか出来ない。近づくにつれて、熱風をまとった気さえする魔法弾はあっという間に目前まで近づく。


 ――もう、だめだ

 一瞬にしてそんな思いが脳裏を駆け巡る。と、そんな時。


「――……くそッ!」

 焦りが感じられる声音で、吐き捨てられた言葉が至近距離で聞こえた。うっすらと開いた目で捉えたのは――


 フーリオ・クレイントン……?






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