キミのいる世界で
「こ、これが処罰とは何故。そ、そう思っているんじゃろ?」
まるで私の考えを読み取ったかのように、指導係は嬉しそうに元から細い目をスッと細めた。
一本の糸のようになってしまった瞳からは、特にこれといった感情は伺えずに怪訝な顔をしていると――
何故か誇らしげに、これのどこが処罰の対象なのかを話してくれる指導係。これから、それをしなければいけない人に話すとは、どういう神経をしているのだろうか。
「か、監房に入っているのが力のない魔法使いなら楽な仕事じゃ。け、けれど! フーリオ・クレイントンのように多大な魔力を秘めている者なら話しは別。せ、せいぜい機嫌を損ねないよう気をつけるんじゃな……」
長々と話しを続けた指導係は、最後にフェッフェッフェッと意地の悪い笑い声を上げる。それにしても、そんな大役を新人にやらせていいのだろうか。
『マギ討伐隊』の警備体制が悪すぎることに懸念を抱きつつも、私は苦笑いをしつつその場から立ち去ることに。
目指すは、地下にある監房。
殺されるかもしれない恐怖というよりは、フーリオ・クレイントンと顔を合わす方が私にとって恐怖だ。
鍵束を掴む手が汗ばんでいるのも気にせずに、更に力を込めてみた。