キミのいる世界で
「ご名答」
人差し指をひらひらと左右に動かす彼の姿に、大きくため息をついたと共に両手で頬を押さえつけた。
物凄い力を持った魔法使いを守ろうとしただなんて、何て身の程知らずだろう。昼間の行動が恥ずかしすぎて、穴があれば入りたい気分だ。
やや暫くフーリオの顔が見れず、膝を抱えっぱなしにしていると彼は言葉を続けた。
「本当、騒ぎにならなくて助かったよ。感謝してる」
「い、いえ! そんなことないです。本当にもう、身の程知らずで……」
感謝の言葉を素直に受け取ることが出来なくて、言い訳をしている内に段々と声が小さくなってしまう。
それを彼は、またも面白く感じたのだろうか。またも小さな笑い声を漏らす。
これじゃあ、ヘタな人間よりも人間くさいじゃない。強力な魔法使いであるが故の偏見をもたれていると知り、胸が締め付けられた。
「じゃあ、昼間助けてくれたのは、そのお礼か何かだったんですね。……こちらこそ助かりました、有難うございます」
まだツボにはまってしまったかのように笑い続ける彼に向かい、心からの感謝の言葉を述べると、ビックリするくらいの音量で反論されてしまう。