キミのいる世界で
出会いは必然
私が、彼と出会ったのはどれくらい前だっただろう。
運命の歯車が崩れたことで、私達は出会ったのだ。
――――……
時刻は午前10時を過ぎたくらいだろうか。
まだ眠い目を擦りながら、私はひんやりとした床に足を下ろした。
適当に服を選び終えると、それを片手にドアノブを軽く捻る。
ギィ……と錆び付いた音を響かせながらも開いたソレは、誰もいない家で寂しく木霊した。
戸を開けた瞬間、目に飛び込んでくるのは、昨日の夕食以降片づけがされていない食器。
取りあえず片付けてしまおうと、左手に握られた服をソファに投げ捨てておく。
下を向くと落ちてきてしまう長い髪を、紐で束ねてから改めて辺りを見渡すと。あまりにも酷いありさまに、小さくため息が出た。
やけに冷たく感じる水で食器を洗っていること十数分。
やっと洗い終わった食器を棚に戻していると、視界の片隅にある本が映る。
一週間前にアンティークショップで見つけたもので、やっと半分読み進めたぐらいだ。
捲るのも大変なくらいに分厚く、捲るたびに変な臭いもする。
けれども、その内容がとても面白くて。ここ何日か家にこもってそればかり読んでいた。