キミのいる世界で
じめじめとした地下水路は、ブルーチーズも顔負けな臭いを放っている。
床はヘドロのようなものがこびり付いていて、歩くたびにねちょっと音がした。
私の目の前にいる存在は、そんなものを少しも気にする様子がなく、ただひたすらに前を歩く。この臭いすら気にしていないのだろうか。
鼻を押さえつつ彼の方を見れば、同じようにしてローブで鼻を押さえていた。どうやら臭いの方は苦手らしい。
「あともう少しだ。それにしても、キツイな」
あえて口にはしていなかったけれど、それは臭いのことを示しているのだろう。私もそれには同感で、鼻を押さえっぱなしで頷いた。
しばらく歩くと、最初のモノと似たはしごが目に入る。
この距離からして、表通りの何処かへと通じているはずだ。先に登っていくフーリオの後を追うようにして、私もそれに続いた。