キミのいる世界で
先に行って待ち構えていたフーリオに手をを引いてもらい地上に出れば、そこは表通りから少し逸れたわき道。
いつもは賑やかな町並みも、その華やかさを失い、閑静な場所と化していた。
「とりあえず、この町は出よう? 長居するのは危険だ」
周りを警戒しながらそう呟く彼に、反論する理由など一つもない。ぶんぶんと首を振れば、楽しそうに口角を上げられた。
しっかりと掴まるように言われ、その通りにすれば、なにやらまたも小難しい呪文を唱えるフーリオ。
腰に腕を回しつつも、その様子を眺めていると急に視界がゆがんだ。次第に気持ちが悪くなり、口元を手で押さえながら下を向いていると。
「成功、かな。もう大丈夫だよ」
若干疲れたような、そんな声が上から降ってくる。恐る恐る上を見上げれば、そこは昼の世界だった。
太陽が照り、活気に溢れた町。王都ルシフェルよりもここにいる人の格好が薄着なのは、この気温が故だろうか。