キミのいる世界で

「う、わぁ――……」

 目に飛び込むのは、湖よりも大きい青の物体。太陽の光が反射してるのか、キラキラとしていて物凄く綺麗。

 前に本で読んだことがある『船』というものがたくさん浮かんでいるのを目の当たりにして、彼の手を引っ張ったまま走り出したら、大笑いされた。


「喜んでくれたようで良かったわ。間近で見たら綺麗だろ?」

 白い歯を見せながら笑いかけてくれるルベルに、私もまた心からの笑顔を見せる。

 こんなに感動したのは何年ぶりだろう。まだまだ私の知らなかった世界があることを知り、改めて世界は広いんだなぁと実感した。


「ホント、綺麗。……連れて来てくれて有難う、ルベル」

 繋いだままの左手に右手もプラスしてそう言えば、らしくもなく照れたように目を逸らされる。

 けれど、やっぱりこんな美しい景色を見せてもらえたのだから感謝せずにはいられない。

 
 約束を破ってでも来て良かったな。


「ま、そう言ってくれんなら連れてきたかいもあるな。オレもエマと来れて嬉しいぜ」

 そう言って顔を覗き込むルベルは、握られた手へ更に力を込めた。


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