キミのいる世界で
「魔法使い、か」
ポツリと呟いた後。ふと時計をみて、もう午後になっていることに気付く。
叫んでしまうのを押さえつつ、急いで支度をすることにした。
今日から私も、魔法使いを狩る側の立場になるのだ。
倍率が相当高い中で生き残れたのは、ほとんど奇跡のようなもの。
初日早々、遅刻するのはマズイと思いつつも、焦っている時ほど上手くいかないのが悲しき人間の性。
何とか服に着替えたところで柱時計の鐘が鳴り響き、大慌てになりながら玄関へと向かった。
右足だけ踵を踏んだ状態になりながらも、ドアを勢いよく開けたところ。
ドガッと、固い物にぶつかったような音が目の前で鳴り響く。
何だろうと、階段の下を見てみると。仰向けになって倒れている、郵便配達の人が見えた。