キミのいる世界で
「……んだよ。せっかく楽しんでたのになー」
「ふざけるな」
興醒めしてしまったように呟くのはルベル。それとは対照的に、苛立ったようにしながら埃を払っているのはフーリオ。
今までの騒がしさが嘘のようになったロビーは、新たな静寂に包まれる。
「お話しがあるのなら、下へお越しくださいませ。ここでしたら、強制的に出て行ってもらいますよ」
にこやかな笑みの奥には、底知れない実力が秘められているのだろう。
そんなお兄さんの言葉を聞いたフーリオは、心底嫌そうな顔をした。
「別に話すことなんてない。……さ、行こう? エマ」
こちらもまた、恐ろしさが漂う笑みを浮かべたまま、明らかな対応の違いを見せる。
囁かれるや否や、肩に置かれた手で進行方向を扉へと変えられたのだけれど。それを阻止するかのように、ルベルが扉に手をかけた。