キミのいる世界で
「で、どうするよフーリオ。エマちゃんは連れて行くわけ?」
まだ笑い足りないような顔をしながら、ルベルはちらりと私を見る。
たぶんそれは王宮に同行するだとか、そんな話しなのだろう。
「駄目だ、危険すぎる」
「ま、そう言うと思った」
すばらしい勢いで振り下ろされたフーリオの言葉に、ルベルは気の抜けた返事をした。
何がなんだか分からないが、私は取り残されるらしい。
状況が上手くつかめず、空のグラスを見つめていると、フーリオの翡翠色をした瞳がそれに反射して映りこむ。
「一週間、いや……それ以上かかるかもしれないけど、ここで待っていてもらえるかい? 何かあればすぐに駆けつけるから、いいね?」
提案、というよりは決定事項。
ガラス越しではない、生の視線を浴びながら、私は小さく頷く。
一週間ホテル暮らしとは、随分と豪華。けど飽きるだろうな。
これから起こるであろう日常を想像し、ばれないようにため息をついた。