キミのいる世界で
「うわっ! だ、大丈夫ですかー!?」
驚きや申し訳ない気持ちが、脳内で渦巻く中。
急いで階段を駆け下り、痛そうにしているおじさんに手を差し伸べた。
すまないね、という優しげな声と共にがっしりとした温かな手が右手に触れて、何だかほんの少し落ち着いた気持ちになる。
けれども、だ。
今は一分、一秒とて無駄には出来ない。
おじさんには申し訳ないと思いつつも、小さく謝罪してから猛ダッシュしようと試みたところ……
ぐいっと、進行方向とは逆に手を引っ張られてしまう。
必然的に尻餅をついてしまうと、今度はおじさんが謝る番になってしまった。