僕と、お姉ちゃん。
玄関のドアを開けると、目の前にはミノルお兄さんが居た。


「……兄さん」


「トオル君、大きくなったね」
あの時と同じ姿で…あの時と同じ笑顔で僕を見つめていた。


「兄さん…あのさ………」
少しだけ、下を向いて呟いたが……


顔を上げると、もうそこには、ミノルお兄さんの姿は無かった。



「兄さんっ!!会いに来てくれて、ありがとうな」



空に向かって僕は叫んだ。



暑さでジットリと額から滲み出て来る汗を、冷やすかのように少しだけ涼しい風が吹いていた。



まるで、ミノルお兄さんが返事をしてくれたような気がしていた。



【美味しかったな、母さんの料理…】
ミノルお兄さんの言葉。はにかんだ笑顔。



夏の暑い日になれば、
必ず思い出すんだろうな…これからも、きっと。



ー僕、忘れないから。兄さんのことー






∽END∽

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