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ここは丹波から京の都の間の森林…
「早いとこ、この森を抜けないと寒くなるぞー」
両腕を抱えながらいそいそと小走りする絃竜。
「たしかに森の中での寝泊りは厳しいですね… 最悪、小屋かなにかあればいいんですが…」
そんな話をしていると、2人の目の前に小集団の男たちが現れた。
「おいお前ら、金目の物をおいていけ。従えないなら命の保障は無いと思え」
「山賊・・・か」
同時に鞘から剣を抜こうとする絃竜。
するととなりの亜一がその剣の柄頭を抑えた。
「みててください。 あなたから教わった剣術をここでみせておきたい」
絃竜は軽くため息をついて、木に腰かけた。
山賊たちは即座に亜一を囲い今から襲わんと言わんばかり。
剣をぬき、鞘をおき、目を閉じた。
チャンスと思った山賊たちは一斉に亜一に襲い掛かった。
「雹ノ太刀、雪化粧!!」
その言葉とともに亜一を中心に山賊はおろか、周りの木々たちもなぎ払われた。
その切り払いはまるで雪が世界を包むかの如く。
「殺しはしません。殺しからはなにも生まれないのだから…」
「腕、確かなものになってきたな。それよりあれ みてみろ」
絃竜が指差すのでその方角をみてみると、
「町だ…」
亜一が木をなぎ倒したせいで京の都がみえたのだ。
「これで森に泊まることはなくなったな」
亜一は剣を収め、2人は森を抜けた。