トレードな同居人
夜になって部屋が暗くなっても電気なんかつけなかった。
何かに今の私が照らし出されるだけで我慢できそうになかった。
カチ…カチ、と秒針が進む音だけが部屋に響いて余計に虚しくなってくる。
今頃、悠と眞子は楽しく夕飯でも食べているんだろうか。
それとも……
思考を過ぎった変な考えに頭を振って小さくため息を吐き出した。
「……お前、何やってんの?」
「………帰らないんじゃなかったの?」
パチッとスイッチが入る音に一拍遅れて燈された蛍光灯と、聞こえた声に体を丸め足を抱えたままくぐもった声をだした。
「別に良いだろ。此処、俺の家なんだし。」
「別に悪いなんて言ってない。」
「……あっそ。」
スッと横を通り過ぎる透から香ってきた香水の匂いに眉を寄せて抱えていた足を離して、自分でもびっくりするような早さで立ち上がっていた。
今は、何をしても何をされてもただイライラしかできないんだ。