トレードな同居人
「………ねぇ…」
「あ?」
「あんたさ……まだ治ってないわけ?その浮気性。」
イライラする。
ただの八つ当たりなのはわかっていても、友達の彼氏が女物の香水の匂いさせてるのを見逃せるような女じゃないんだよ私。
「眞子と付き合ってるんじゃないの?」
「それ、お前に関係あんの?」
「眞子は友達だから心配してんの!」
悪びれた様子なんて微塵もない透にまたイライラして睨みつけるようにしながら見ても、全然気にしていないようなそぶりで私を見ようともしない。
それがまたイライラを増長させる種になるんだよ。
「聞いてんの?」
「うるせぇな。お前に関係ないだろ…」
「関係ない?ふざけんな!あんた恋人なんだと思って…っ」
私を一度も見ようとしなかった視線が急に向けられた事で思わず口ごもってしまった。
かち合った視線の先の透の瞳は、正直怖かった。
本当に今、私を見ているのかすらわからないような暗い暗い闇の色を携えていたんだ。