トレードな同居人
ポタリ、ポタリ―と滴る血をそのままにして無残な形になった陶器を燃えないゴミの袋に捨てた。
――…これで自分の感情もなくなってしまえばいいのに…。
過去も今も未来も、全てがゲームみたいにリセットボタン一つで真っ白になってしまえばいいのに。
「お前さ…」
「何よ、あぁ…血?あんたの家汚してすみませんね。すぐ掃除するから。
だからあんた部屋戻れば?」
聞きたくない。
今、透の辛辣な言葉を聞けば泣いてしまうかもしれない。
だから…私から突き放すんだ。
「…………」
「………も……ほっといて…」
「ほっとけ?俺には構ってとしか聞こえねぇな。」
ぱっくり切れた手じゃない反対の腕を引っ張られて洗面台に連れていかれた。
その時に見た透はさっきまでの透じゃなくて、どこか温かくて、それでいて私を心配しているような気がした。
――…きっと…思い違いだよね。
そう思いたかった。