トレードな同居人




部屋の中にたった一つ普通なソファーに座らされてぱっくり切れた手の平の手当をされる。




「ねぇ…」


「あ?」


「覚えてるじゃん…私の事。」




昔も今も私に興味ないみたいな態度だから私の事なんか何も見ていないとおもってたんだ。

だけど、昔の私と今の私を比べられるから私を少しは見ててくれてたって事なんじゃないかって捨てたはずの"希望"をまた持ってしまう。




「四六時中追いかけ回す女を忘れるなんてできるはずねぇだろ」


「………それは…」


「お前みたいな女なんてほかにいねぇだろうが。」




ガーゼの上から包帯を巻きながら口の端を少しだけ上げる透に昔みたいにドキリと心臓が早鐘を打ちはじめた。




「学校行けば校門にいるし、休み時間になるたびに来るし、帰りは当たり前みてぇに後ろついて歩くし。」


「………わ、悪かったわね…」


「いや……別に。

あんま手動かすなよ。」




頭をポンポン叩かれて頬っぺたが少し熱かった。




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