トレードな同居人






「……―ぃ―………おい!」


「ん……ん!?」


「いつまで寝てんだ。」




重たい瞼を無理矢理こじ開ければ目の前に仁王立ちの透。

5秒…10秒…15秒……

覚醒した途端に眞子とのトレードを思い出して飛び起きた。




「今日帰らねぇからな。」


「………また女遊びですか。」


「あ?良いだろ、つーか…干渉するなって言っただろ。」




昨夜のちょっと優しい透は跡形もなく消えていて、がっかりしながら小さくため息を吐き出した。




「別に良いよ……行けば?」


「……じゃあな。戸締まりちゃんとしろよ。あとあんま手動かすなよ。」




ヒラリと手を振って出ていく透に私はまたため息を吐き出した。

突き放しても突き放しきれない透は本来は優しくて世話好きなんじゃないかって思えた。




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