トレードな同居人
透のアパートから歩いて20分くらいの場所にあるこじんまりとしたイタリアンレストラン。
周りには木や花が植えてあってどこかアットホームなレストランだった。
「意外…あんたでもこう言う場所来るんだ。」
「失礼な奴だな。」
「や、だってイメージ的には凄い高級なレストランとか行ってるイメージだし。」
必要以上に大人びている透からは想像できないレストランに思わず口にだしてしまう。
それに気分を悪くした様子もなく苦笑いする透が今、初めて年相応に見えた。
「あら…透くんいらっしゃい」
「ども。」
「彼女?かわいい子ね。」
店先の道路を箒で掃いている30代だろう女性に透が頭を下げたのを見て小さく頭を下げれば、えらく的外れな勘違いをされてしまう。
「初めてね、透くんが彼女を連れてくるなんて。」
「小夜さん、こいつそんなんじゃないっすよ。ただの…」
「ただの?」
「………後輩っす。」
口が達者、と言うわけじゃないけど何となく雰囲気で勝てない透を追い込むこの人…小夜さんと言う女性に少しだけど憧れの眼差しを向けていた。