私こそ光る☆君~グランプリ編~
『それは……』


言いかけて口ごもる。


悪気があったわけじゃない。

でも、私が言ったことが結果として紫水を傷つけてしまったのは事実だ。


『やっぱりちゃんと謝らなきゃ』


「どうして?」


『そうしたいから』


「……!!」


今度はきっぱりと思いを口にした私に、紫水は目を丸くした。

しばしの沈黙の後……。



「君には敵(かな)わないね……」


耳にしたのはそんな諦めにも似た言葉と小さく笑う声だった。


ん、あれ?


見れば紫水はさっきよりもずっと嬉しそうな顔をしている。


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