お隣サマは運命の人

「産まれたばかりのお前を見た時、幼いながらも俺はお前を守るって千華さんに約束したんだ。
ホントに小さくて、壊れそうで、でもあったかくて、不思議な気持ちになったのを今でも覚えてるよ。
もしかしたらその時からこんな気持ちになることは決まってたのかもしれないな。」




「・・・こんな気持ち・・・?」




夕日が射した翔ちゃんの綺麗な横顔がゆっくりとこっちを向いた。


あの時の・・・男の人になった瞳に見つめられて、私は目が離せない。


それに今度は逃げちゃいけないんだ。




「お隣のかわいい女の子がどんどん綺麗になって、いつしか俺をドキドキさせるようになった。
このまま見守るはずだったんだけどな。いつの間にか愛菜の横に俺の知らない男が立ってしまうのが嫌だと思うようになった。
愛菜が隣に居るのは当たり前だったし、愛菜の隣にはお隣のお兄ちゃんとしての俺じゃなく愛菜の彼氏として立ちたいと思うようになった。
俺は、愛菜が好きだよ。」




「翔ちゃん・・・」





目の前にいるはずの翔ちゃんが霞んでうまく見えない。

さっきから涙が浮かんでは流れてを繰り返し、止めようと思っても止められない。





「愛菜は俺にとって大切な女の子だけど、それ以上に俺が幸せにしたい女なんだ。
・・・俺と付き合ってくれる?」




「はい・・・。」




返事と同時に翔ちゃんの胸に引き寄せられる。




「ありがと、愛菜。必ず、幸せにするよ。」




そう言ってチュッと音がするように翔ちゃんは私のおでこにキスしてくれた。



恥ずかしいのと嬉しいのと、でも満たされた気持ちの私はそのまま翔ちゃんの背中に手を回した。












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