君とキス-You and kiss-
君のこと
「足いためちゃったか?」
啓司がうつむき加減で歩く月乃の顔を覗き込むように話しかける。
「・・・うんんっ何でもないよ大丈夫」
少し遅れて返事をした月乃は遠くの木を見つめたままふっと息を吐いた。
「あいつがいなくなってもう4年目だな」

「うん」
月乃の考えていた事を理解したのか啓司は同じように遠くの木を眺めて呟く。

「っ・・・」
こらえていたはずの涙が声があふれそうになって、月乃はその場を離れるようにあてもなく駆け出す。
「あっ・・・月乃!」

待機していたかのように人ごみが道を阻んで月乃を見失った啓司はその場に取り残された。
< 1 / 5 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop