Iの漂流戦士
漂流、戦士
『〜♪♪♪』
夜の街を上空から照らし出す満月
時間は深夜2時
男は鼻唄歌いながら、おぼつかない足取りで歩いていた
人気(ひとけ)の少ない路地裏で壁にぶつかっては歩き、またぶつかっては歩き………
『〜♪♪♪♪』
鼻唄はさらに大きくなり、男は上機嫌の様子
酔いがまわって視界も霞む中、微かに見えた人影
その人影は満月に照らされ、男の10メートル先に立たずんでいた
ピクリとも動かない人影は、ただ真っ直ぐに男を見つめている
男は鼻唄を止めた
酔いのせいで視界も足も正常ではない筈なのに、男の顔は正常だった
いや、正常と言うよりは恐怖
-------これは夢か幻か
今日は飲み過ぎたかな?なんて自分に問いかける
でも、満月に照らされている人影は夢でも幻でもない
男はサァーと血の気と共に、酔いが冷めていくのを感じた
そして、静かな路地裏に絶叫が響き渡る
『うわぁぁぁぁぁ!!!!!』
男は知っていた
あの人影は幻ではない事を
あの人影は本物である事を
あの人影が殺人鬼である事を
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