Iの漂流戦士
【緑丘公園】
倉木は自分の車を走らせ、正義はその後を追った
事件現場から遠退いてゆく罪悪感を抱えながら
着いた場所は緑丘町にある公園だった
大人2人で公園に入るなんて滅多にない
倉木は何も気にせずベンチに腰掛け、正義も隣に座った
座ると同時に倉木は胸ポケットからタバコを出して口にくわえる
その手は震えていた
『大丈夫ですか……?俺が火付けますよ』
正義は倉木のライターを使ってタバコに火を点す(ともす)
『悪いな…』と謝る倉木はどこかタバコで雰囲気を誤魔化そうとしているように見えた
フゥ…と煙を吐き、タバコを吸う手を止める
『……前にお前に殺人鬼についてどこまで知ってるんですか?って聞かれて、知ってても俺にはどうする事もできないって答えたの覚えてるか?』
『………はい』
『俺はな…逃げたんだ。
………あいつから逃げたんだよ』
ポター…ポタ…と倉木の目から涙が溢れた
声を絞り出すように言った言葉はどれ程の時間、倉木の胸に詰まっていたのだろうか
そう思うだけで涙の理由も言葉の意味も分からない正義だが、同じように胸が苦しくなった