Iの漂流戦士





体育館では全校生徒が集められ、重たい集会の真っ最中だった

正義と倉木は中には入らず、入り口付近で様子を見ていた



『全く他人事じゃねーよな。身近でこんな事件が起こっちまうと』


元同僚が殺された倉木の様子は普段と変わらず、動揺もしていなかった


『親しかったんですか…?その…中野政彦さんと』


5年も会っていなかったとはいえ、元同僚が殺された倉木が何も感じない訳がない


それに、授業を放棄してまでこの学校に出向いたのだから、計り知れない心中があるんだと正義は思っていた


『いや、仲は良くなかったよ。会話もあまりした記憶はねーしな。まぁ、変わった奴だったよ中野は』


倉木の言葉に正義は目を丸くさせた



『変わった奴ですか……?それは一体どうゆう……』


『黙祷(もくとう)』


校長の声が体育館に響き渡った

倉木と正義は話しを中断し、中野政彦に黙祷を捧げた





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