Iの漂流戦士





一方、修が待つオフィスビルに向かう途中、一馬が突然足を止めた



『…………どうしたの?』


それに合わせるかのようにナノハの足も止まる



『ナノハさん。もうあの人と会わない方がいいと思います』


あの人というのは勿論正義の事だ



『………?』

ナノハは不思議そうに首を傾げた


一馬の目から見てナノハは純粋そのもの

だからこそ何色にも染まってしまう


正義と一緒に居たら簡単に正義の色に染まるだろう


もしそうなったら………。



『まだ修さんと一緒に居たいのならこの忠告は聞いとくべきです。……だけど、それが決してあなたの幸せではありませんが』



『………私は修や皆と一緒に居られれば幸せだよ』


ナノハの言葉に一馬はふっと空に目を向けた


そこにはオレンジ色の空に一本の飛行機雲が浮いていた



『………やっぱり考えちゃいますね』


一馬の口から溢れた言葉


『なにを?』

キョトンとした顔でナノハも空に目を向けた



『もっと早く出会えていればって。修さんやナノハさんに』


一馬はそう思わずにはいられなかった

すると……


『………そんな事言い出したらキリがないって修ならそう言うよ』


ナノハはニコリと笑い、一馬よりも先に歩き出した


一馬もそれに続くように止まっていた足を動かす



『もう言われました』


そう言いながら------。


二人の影が交互に動き、オレンジ色の夕日がいつまでも一馬とナノハと照らしていた






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