Iの漂流戦士
正義は朝日が射し込むワンルームのリビングでその書き込みを見た
入れたてのコーヒーをパソコンの横に置き、マグカップからは白い湯気が立っている
時間は朝の6時。朝食を軽く食べて、7時には家を出る
あまりゆっくりとはしていられないこの時間帯に、正義の体はピクリとも動かなくなってしまった
その代わりキーボードに触れている指先が微かに震える
まさか……と思いつつ、もう一度書き込みを読み返した
正義が凝視している理由は、殺人鬼01がまた殺人を犯そうとしているからではない
ターゲットにされた男の名前
“柿崎 新造”
正義は柿崎新造という男を知っていた
しかし世の中には同姓同名の人間も居る
…が、赤磐市に住む柿崎新造は果たして二人居るだろうか
正義は少しずつ記憶の糸を辿っていく
柿崎という男を思い出せば思い出す程、背中に嫌な汗が流れた
確かに柿崎新造は殺人鬼に標的にされる要素がある
しかし正義の中でその問題解決していると思っていた
それはまだ殺人鬼が世に現れる前。今から半年以上前の出来事に遡る
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