Iの漂流戦士
名前しか知らない初対面だけど“天才高木功”と言われているイメージがピタリと当てはまる
黒髪に制服をきっちりと着て、メガネをかけた少年
乱れた生徒が多い中、見本として見習って欲しいぐらいの容姿だった
『僕に何か用ですか?後10分程で授業が始まるんですが……』
正義は目の前の状況を理解出来ていなかった
(この少年が漂流戦士の著者で、この学校の教員が殺されて、殺人鬼01の事が何か掴めるって……?)
短時間で起こった事を必死に頭で整理していた
『いや、用というか聞きたい事は沢山あるんだけどね?』
そんな中、倉木が口を開く
『聞きたい事?なんですか?』
『ま、とりあえずあの本を書いた君の目から見てこの学校で起こった出来事の事をどう思う?』
倉木はまるで新聞記者のような聞き方だった
高木功は取材に慣れているのか淡々とした口調で言い返す
『もう少し分かりやすく質問して下さい』
倉木は教員という立場にも関わらずとんでもない事を口にした
『中野先生が死んで君は悲しい?』
その瞬間、正義は慌てて声を出した
『………く、倉木さん何を言ってるんですか?』
倉木の顔を見ると今までに見た事のない真剣な顔をしていた
(倉木…さん?)
高木功はそんな質問にも動揺一つ見せない
『はい。悲しいです』
その言葉とは裏腹に、高木功は表情は無表情だった