Iの漂流戦士




わざわざ辛い事を思い出してまで、誰かに話そうとは思わない


それに、何度も言うようだが、彼らの人生は終わっているのだ

今さら救いなど求めていないのかもしれない



“君のやり残しは何?”

そんな事聞けないけど、正義は一つだけ聞いてみたかった

その質問が全ての答えのような気がするから



『……やり残しをなくしたいとは思わない?』


きっと、彼らを救うという事は、彼らの心を満たしてあげる事

やり残しが“悔い”ならば、それを解決したら彼らの心は満たされるかもしれない


修は言った、

殺し続ける事で自分を救っていると


誰かを救う事で、救われなかった過去の自分を救っている

だけど、本当に彼らは救われているだろうか


いや、救われてなどいない


だって彼らはここに居るのだから


“やり残しをなくしたいと思わない?”


その質問にナノハは冷静に答えた



『……それをしたら私はここから居なくなる。やり残しはあるけど、私はまだ修達と一緒に居たい』


ナノハだって分かっていた

この時間は永遠ではないと、


いつか帰るべき所に帰り、みんな離れ離れになる

でも、まだ“そのいつか”が来ないで欲しいと願ってる

せっかくできた大切な人達を失いたくないから






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