Iの漂流戦士
┗最後、絆
【殿町 商店街通り】
高木功と別れた後、修は再びこの街に帰ってきてしまった
だけどザワザワとした人混みや街は今の修にとって少し落ち着く空間だった
ここが修の居場所なのかは分からない
でも自分と同じようなに悩みを抱えた人達を見ると、不思議と安心できた
『もう来ないかと思ったよ』
修の隣に誰かが座った
それはいつものように缶チューハイを持った戸ヶ崎
『なんかこの間、偉そうに言ってごめん。ここに来るのも来ないのもお前の自由なのに』
“心配してくれる人が1人でも居るなら、こっち側の人間にはならない方がいいぜ”
戸ヶ崎は戸ヶ崎なりに、修に言った事をずっと気にしていたみたいだ
『別に気にしてないよ。だから一つ、聞いていい?』
もしかしたら怒られるかもしれないし、もう話しかけてくれないかもしれない
『いいよ。何?』
詮索はしないと約束したけれど、どうしても今聞きたい
『戸ヶ崎には心配してくれる人は居ないの?』
こんな事、この街に居る時点で分かりきってる事
でも修は戸ヶ崎の口から聞きたかった
『………昔は居たけど今は居ない。俺、地元から逃げてきたんだ』