Iの漂流戦士






その後、母親お手製のカレーを食べてナノハは桜と同じベッドで寝る事になった



『ごめん。狭くない?』


『大丈夫だよ』



シングルベッドだけど不思議とナノハは狭さを感じなかった

いつもとは違う天井と匂い。そして背中に感じる人の温かさ



『兄貴が余ってた布団持っていったとかまじありえない。お母さんも言ってくれればいいのにさー』

ブツブツと文句を言う桜がナノハには少し可愛く見えた



『ちょっと何笑ってんのー?』


暗闇の中、桜がナノハの頬を軽くつねる



『………ご、ごめん』



---------------気を悪くしただろうか。ナノハは少し心配になった



『もう、あんたはすぐ謝んだから。まぁ、そこが可愛い所だけどね』


引っ込み思案な自分に話しかけてくれた事。こうして友達になってくれた事

その全てがとても特別なもの



『ありがとう。桜』

なんとなく言いたくなった。思えばきちんとお礼を言った事はなかったから



『なによ急に』


その夜は眠りにつくまで二人で色々な話をした






もしかしたら、ナノハにとって一番幸せな時間だったかもしれない


好きだったからこそ、
大好きだったからこそ、

その心に負った傷は深い






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