Iの漂流戦士
┗唯一、無二
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【公立富江女子高等学校】
時は戻り現在、星野正義とナノハは学校の敷地内を歩いていた
ナノハの目にうつる学校は何も変わってなくて、その匂いと共に過去を思い出す
『……………大丈夫?ナノハちゃん』
その姿に正義はそっとナノハの肩に触れた
ナノハが正義と一緒に行きたい場所。それはずっと気がかりだったあの場所
『私ね、唯一学校で好きな場所があったの。それは裏庭の花壇。何年も前からなにも植えてなくて雑草だらけ』
ナノハの肩がわずかに震えていた。それでもナノハは話を止めない
『だからね、私がそこに花を植えた。…………私が大好きな菜の花』
正義にニコリと笑いかけるその顔は今にも泣きそうだった
ナノハは静かに空を見上げ、まるで何か遠くを見ているよう
『……昔から黄色いものには幸せが寄って来るって言うでしょ?だから黄色い花が咲く頃には私も幸せになれるかもしれないって思ってた』
『ナノハちゃん…………』
『でも花が咲く前に私は幸せになる事を諦めちゃった。今日先生と行きたい場所はそこ。今その花壇がどうなってるのか気になって……』
正義はこの学校の敷地に詳しくないが、裏庭と言うのなら距離にして後もう少し
あの角(かど)を曲がればきっとナノハが言う花壇が見えるはず
足を前に進ませようとした瞬間、正義の服をナノハが掴んだ