Iの漂流戦士
『…………ねぇ、先生。私この学校に居場所がなかったの』
弱い言葉の裏側にどれほどの悲しみがあったのだろうか?
『みんなキラキラしていて自分だけ別物みたいだった』
『…………………』
『ねぇ、もし花壇の花が枯れてたら?
もし全部枯れて雑草だらけになってたら?
私がここに居たっていう証はどこにあるのかな?』
ナノハの目から次々流れる涙。正義はなにも言えず唇を噛み締めるしかなかった
『私はそれを確認するのが怖くて、怖くて、怖くて仕方がないよ。先生………』
自分が居た証。普通なら考えもしない事だが、彼女にとってそれは重要なもの
もうここに命が無いからこそ、存在しないからこそ、何か一つでも証明が欲しい
自分がここに居たという証明が
『ナノハちゃん大丈夫だよ。きっと花はある。君が植えた菜の花は花壇にあるよ』
正義はそう力強く言った。こんな世の中だってそこまで残酷なはずがない
ナノハが最後に植えた花は必ず綺麗に咲いている
そう言い聞かせながら正義は足を進ませた。-----------------と、その時
『-------♪♪♪♪♪♪』
突然正義の携帯が鳴り響いた。慌てて手に取ると着信表示は【倉木】
(倉木さん………………?)
この間の悪いタイミングに正義は何か嫌な予感がした
『ごめん、ナノハちゃん。ちょっと電話に出てもいい?』
他の人なら見過ごす事も出来るが、倉木は用もなしにかけてくる人じゃない
正義はナノハの許可を取り、恐る恐る電話に出た
『倉木さん、どうしたんですか?』