Iの漂流戦士
【同時刻 殿町オフィスビル26階 屋上】
正義が倉木の電話に出た同時刻、一馬はいつものようにパソコンをいじっていた
カチカチっとスクロールさせ、掲示板の書き込みをチェックする
殺人鬼が現れなくなっても掲示板のアクセス数に変化はない。むしろ信者のような人達が居座っている状態だった
『今日もいじめで自殺したって。もう戦士現れないのかな?』
『警察に捕まったって噂まじ?』
『いやいやない。戦士悪い事してないじゃん。そんな事になったら警察乗り込もうぜ!』
『さんせーい。戦士はうちらの神だから。居なくなったら世の中まじで終わりだよ』
『ってか私、今いじめに合ってるんだけど正直きつい。明日には居なくなってるかも』
『早まんなって!!きっと戦士が助けてくれるからさ』
一馬は一つ一つの書き込みを読みながら苦い顔をしていた。もう心は決まっているのに罪悪感は増すばかり
誰かを救いたくて始めたのにそれをこっちの都合で置いていく。それがあまりに無責任のような気がして
一馬はため息を付きながらパソコンを閉じようとした。その時、ものすごい速さで掲示板の書き込みが更新されていく
同じ言葉。同じ名前。同じ内容
一馬はその書き込みを見て、大切にしているパソコンをコンクリートの上に落とした
--------ガシャンッ。
もう少しで終わるはずだったのに、せっかくみんな前に進んでいるのに
また世間は大きく騒がしいものになる
インターネット、メディア、新聞
そこにはお祭りのようにある話題で一色だった
それは--------------。