Iの漂流戦士
『はぁ……………』
高木功は昼休み、逃げるように屋上に居た
思えば報道以降、修には会っていない。それどころか二人きりで話しをしたのはいつだったっけ?
もしかしたら今頃一馬のようにここから去る準備をしているかもしれない
いや、仮に消えていたとしてもおかしくはないのだ
『兄さん…………ナノハちゃん』
高木功がそう呟くとポケットの中で鈍いバイブ音が鳴った。着信表示を見て渋々電話に出る
『あなたが俺に電話してくるなんて珍しいですね。何か用ですか?』
少し冷たい応対をする相手は滅多に連絡してくる事はない倉木だった
『今日から学校復帰したって聞いてさ。星野も心配してたし一応な』
『教師って案外暇なんですね。俺の事より自分達の生徒を心配したらどうですか?』
高木功はいつもより不機嫌だった。それに倉木がこんな事でわざわざ電話してくるなんておかしい
『どうせ用件はそれじゃないでしょ?さっさと言わないと電話切りますよ』
高木功は屋上の手すりに寄りかかり、倉木の次の言葉を待った
『じゃぁ、聞くけど修とお前の兄弟関係を雑誌に売ったのは本の編集者だろ?』
-----------ピクッ。高木功の眉が一瞬上に上がった
。少しずれた眼鏡を直し、再び溜め息をつく
『それがなんですか?俺にはどうでもいい事です』
『どうでもいい?ちゃんと否定しないと疑われるのは自分だろ』
確かにあのネタを世間にバラしたのは恐らく本の編集者。あのニュースのおかげで本はまた売れたし話題にもなっている
--------------それに。