Iの漂流戦士
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同時刻、仕事の終わった正義は駐車場に停めてある車に乗ろうとしていた
しかし目線は何故か空へ………。
ふっと誰かの歌声が聞こえた気がした。それはいつか聞いたあの童謡
『ナノハちゃん………?』
空に問いかけても返事はない
正義はなんとなく気になり、車を富江女子校へと走らせた
辺りは夕焼けに染まり、コンクリートに映る影が色濃くなる
高校に着いた正義は車を路肩に停め、あの場所へと向かった
“校内関係者以外立ち入り禁止”
なんて看板は今の正義には目に入らず、怒られる覚悟なら出来ている
『-------------ナノハちゃんっ!』
そう叫びながら裏庭にたどり着いた
そこにはナノハの姿はなく、あるのは一面に咲いた黄色い菜の花の海
そよ風に揺られ、花のいい香りがした
それに導かれるように花壇に近づくと、見覚えのあるものを発見した
『これは………』
綺麗に畳まれたジャージと謎の白い紙。間違いなくナノハがここに来た証拠
ジャージにはまだ温かいぬくもりが残っていて、正義は空を見上げた
『ナノハちゃん………』
きっとこの花壇を見て、ナノハは過去と決別する事が出来ただろう
正義は残された紙を見つめ、静かに開いた
“小さな幸せも沢山あれば大きな幸せ
これを先生にあげる。大切な一人のあなたに”
菜の花の花言葉は小さな幸せ
一つ一つは小さいけれど集まればこんなにも美しいものになる
正義の目の前には確かに大きな幸せがあった。
頬に一筋の涙が流れたけれど、これは嬉し涙。そして別れの涙
『ナノハちゃん有り難う。-------さようなら』
正義は何度も何度も空に言い続けた