ココア
「もしもし?」
「おー、今着いたぞ。コンビニで待ってるから来て」
「わかった、今行くね」
ケータイをポケットにねじ込むと、スニーカーを履き、玄関のドアを開けた。
10月末の朝、この季節にしては寒い空気が私の肌をピリピリと刺す。
グルグル巻きにしたストールに、顔を半分くらい埋め、私はコンビニまで駆けだした。
─あ、いた…
「おう!おはよー。悪いな、朝早くに」
全然悪く思ってなさそうに言う。
そんな西原くんに、私は胸が詰まった。
そして、泣き出してしまいそうになる感情に困った。
彼に会った瞬間に、暖かい気持ちが全身を満たしていくのが分かったから。
だから、わんわんと泣き出してしまいたくなった。