ココア
あったかい─
西原くんといると、暖かい日溜まりでまどろんでるみたいだ。
「お父さんが崩れて喚く姿が頭から離れないんだ…。お母さんも泣かせちゃった」
「今はすれ違ってるだけだ。大丈夫、きっと。大丈夫だって」
「そう…かな」
「大丈夫。倉野見てれば、お前の両親が優しい親だって分かる。そして、お前もそんな両親の子供なんだから」
「──うん。ありがと」
ありがとう
ありがとう
ありがとう、西原くん
「じゃあ、海に向かって叫べ。スッキリするから」
「………やだ」
「なんだよ~。じゃあ、そうだな。俺の胸で泣け」
─この人は分かっててそんなこと言ってんのかな…
「…それもやだ」
「それもイヤなのかよ、ワガママだな~。でもダメ、強制だから」
そう言うと、西原くんは私を胸に抱き寄せた。