ココア
─っっ!!!
目の前に彼の胸。
抱き寄せた、という表現はちょっと違うけれど。
親が幼い子供を抱きしめるような、そんな感じで私は西原くんの胸の中にいる。
鼓動は急速に速度を速める。
熱は顔に集まり、見なくても自分の顔がいかに赤いかが分かる。
「ため込んでたんだろ、ずっと一人で。だから爆発しちゃうんだよ」
「だって、どう言っていいか分かんないし。言われた方だって困るだろうし。それに…」
「それに?」
「本当は最低で醜い私を…見せて、嫌われちゃうのが怖い。怖いんだ」
「言ってんだろ、お前は醜くないし、最低でもない」
優しい彼の言葉が、私に降り積もってゆく。