ココア
彼の行動に、私はずっと驚かされてばかりだ。
初めて会ったあの日から──。
「辛かっただろ」
「─大丈夫」
「大丈夫じゃねえだろ。友達なんだから、もっと頼れ」
─トモダチ……か
その言葉に胸の奥がきゅっと狭くなる。
「我慢してきた分、泣いちゃえって。今なら俺の胸はタダだから」
「何、それ」
「─痛かったよな、辛かったよな。お前がそんな言葉を親父さんに言うなんて」
「…ぅ…ん」
「謝ろ。な?」
「……うん…」
「親父さんはきっと、お前に一番今の姿を見られたくないんだろうな。だから、イライラしてうまく言葉に出来なくなっちゃうのかもしれない」
「うん…」
さっきとは逆で、彼の言葉に私は只、頷くことしかできなかった。