ココア
「はい」
泣き止んだ私に、買ってきた缶のココアを手渡してくれた。
「いっぱい泣いたから糖分補給な」
「糖分補給した方がいいの?」
「知らね」
カラリと笑って答える。
「もう、いい加減だなぁ」
でも、そのいい加減な優しさに、私はきっとずっと救われてきた。
…言えないけれど。
温かいココアは体の中に流れ込み、私の一部になる。
西原くんの優しさみたいに。
「俺さ、仕事決まったんだ」
同じココアを飲みながら、彼が打ち明けてくれた。
>「え、おめでとう!良かったね」
「将来の目標も決まった」
「お、何だか進み始めたね。どこに勤めるの?」
「介護施設」
意外な言葉が返ってきた。