ココア
今まで彼が介護の仕事に興味があるなんて、聞いたことがなかったから。
「最初はアルバイトからなんだけどね。働きながら、まずホームヘルパー2級の資格取ってさ。いずれは介護福祉士の資格も取ろうと思ってる」
「なんか、意外」
「うん。決めたんだ」
そうキッパリ言った西原くんの横顔は、清々しい笑顔の中に寂しい色を含んでるように見えた。
それが何だか無性に悲しくて、うまく言葉を見つけられない。
この感じ、以前にも見たことがある。
3年ぶりに会ったあの夜だ。
居酒屋で、仕事を辞めた時のことを話していた西原くんと同じ目だった。